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DU booksで発売中の『クラシック・レコード デザイン集[ロシア&ポーランド編]』は、旧共産圏のレコードデザインに焦点を当てた世界にも類例のない書籍です。
 今回は著者の綾部徹之進さんに、この図版集の製作秘話や旧ソ連とポーランドを中心とするレア・レコードの魅力について、お話を伺いました。

●綾部徹之進さんインタビュー
(聞き手:大村 新:ディスクユニオンお茶の水クラシック館スタッフ)

――綾部さんが考えるこの本の一番良い楽しみ方は?

 いつも手の届くところに置いて頂き、家で”まったり”している時間にでも、デザインの魅力を存分に楽しんで欲しいです。
 本書は、デザインの魅力に焦点を絞るため、敢えてレコード解説等も省きました!

――この本はどんな方に手にとってほしいですか?

 レコード・コレクターは勿論ですが、寧ろ美術を志す若い人達の参考にして頂きたいですね。
 本書は解説を付けなかった代わりに、デザインの組み合わせやレイアウトには細心の注意を払いました。
 例えば、18~19ページのA.エシポワとR.タマルキナのジャケットは、造形的な調和に加えて、黄色と紫色の色彩の対比(補色関係)も意識しました。
4枚(左右のページを含む)のジャケットを掲載してるところでは、左右は勿論のこと対角線上に補色の関係を持たせたり、色彩学的な調和を考えて配置しています。
 また、色彩のみならず、構成やロゴタイプの特徴に於いても対比を意識した作りに…兎に角、レイアウトに関しては細かく工夫した作りになっているので、デザイナーを志す若い人達にも、「どうしてこのような並べ方にしたのだろうか?」と考えながら見て頂きたいです。

 


――旧ソ連・ポーランドのジャケットの魅力の秘密は?

 私はクラシック音楽以外のレコードも幅広くコレクションしていますが、一般的なクラシック音楽のレコード・ジャケットというと、はっきり言って「カッコ悪い」…(笑)
モダン・ジャズのレコード・ジャケットには、凄くカッコイーものが多いですね。私は以前、そのためだけに、ブルー・ノートのオリジナル盤を集めたことがあります。

(ここで「ブルー・トレイン」のレコードを取り出す綾部さん)

 しかしながら、今回紹介する旧ソ連・ポーランドを中心とするクラシック・レコードは、共産党員の特権階級用に配給された所謂VSG規格ばかりで、西側ヨーロッパの市場原理主義とは全く異なった価値観で製作されたためか、ジャケット・デザインも圧倒的に素晴らしい!
 演奏家のポートレートも秀逸な写真が使われており、デザインも当時のロシアで主流だったモダニズムやロシア・アヴァンギャルドの影響など、興味深いところです。



 また、ロシア語特有のキリル文字のカッコ良さも、重要な構成要素となっています。私達が普段見慣れない文字を使ったタイポグラフィー等は、文字の装飾技法に関しても、デザイナーが全て手書きでレタリングした芸術性の高い物ばかりです。



――この本に掲載されているレコードの順番にコンセプトはありますか?

 帝政ロシア時代から続く、この地域の地理関係に沿って配列しています。
まず始めに中心となるソビエト(ロシア)。その隣にあるバルト三国に移り、バルト三国中央のラトヴィアの首都リガ。リガ共通ジャケットは、ドイツ語圏のためかデザインが独創的。
 そしてその下(バルト三国)に位置するリトアニアからは、画家でもあった作曲家チュルリョーニスのレコード。



 そして、その下に位置するポーランドとなる訳です。ポーランドのレコード・ジャケットは特に素晴らしいです。殆ど現代美術そのものだと…




――綾部さんがこの本に掲載したレコードの中で、一番お好きなデザインのものはどれですか?

 まさに表紙に掲げたゴルボフスカヤのレコードですね。



 ゴルボフスカヤは、ロシアの三大女流ピアノ教師の1人で作曲家プロコフィエフの同級生。このレコードは左がラトヴィア(リガ)で製作されたバルト三国仕様のもので、右がソビエト共産党で製作されたもの。微妙に文字のレタリングが異なっているでしょ!つまりコピーではなく、デザイナーが一つ一つ丁寧に手書きでデザインしたものです。この採算を考えない手のかけ方は、市場原理主義からは出てこないでしょう。因みにこのレコード2枚揃いは私が持っているもの以外、存在が確認されておりません(笑)

――レコード入手にまつわる面白いエピソードを教えてください。

 その辺は企業秘密に関わってくるのであまり話したくないのですが…(笑)
 敢えてぼかした言い方をすると、本当に貴重なレコードは今のロシアからは出て来ません。寧ろ旧ソ連から独立した〇〇〇スタン系の共和国に僅かに残っている程度です。そういう国のお友達を作るのがいちばん早いかな…(笑)

――私はこの本に掲載された演奏家のポートレートに圧倒されます…何と言うか、作品以上に演奏家の存在感を感じるのですが、綾部さんはどうお考えになりますか?



 私も同感です。演奏家の持つ意味が、現代とは全く異なるように思います。
 私が膨大な数のロシア・ピアニズムのレコードを聴きこんで感じることは、「ロシアには大きな二面性がある」ということ。簡単に説明すると、ロシアは一番優れた演奏家は国外に出さない。当時、西ヨーロッパで持て囃されたロシアのコンサートピアニストたちは、ロシアの水準からすると、全て二流以下のピアニストです。
 超一流の才能を持ったピアニストは、若い頃から国家が囲うような形で人間国宝のような待遇にして、音楽院で後進の育成にあたらせる。このようなスタイルが、ロシア・ピアニズムの最大の特徴です。ゴリデンヴェイゼルやネイガウス、フェインベルク等が、その代表的な存在と言えるでしょう。
 1917年のロシア革命で約200年続いた帝政ロシアは崩壊しますが、採算を度外視しした形で文化事業に惜しみなく投資するというスタンスは、革命後のソビエトへと受け継がれていったように思います。ちょっとこんなの聴いてみますか?

(1950年代?のゴリデンヴェイゼルのグリーグ:《叙情小曲集》のレコードをかける綾部さん)

――いや、ゴリデンヴェイゼルもグリーグのイメージも変わりましたよ(笑)。こんな録音が残っているとは驚きですね…確かにゴリデンヴェイゼルやフェインベルクの録音は、今でも聴くことが難しいですよね?CDショップでも扱いは少ないし、そもそもCD化されているものが限られている…
 
 そうですね。ですからロシア・ピアニズムの超一流のピアニストについては、唯一レコードの形でのみ実感出来るということです。
 御存知のように、私はそういったレコードを常軌を逸するほど集めています(笑)。私事で恐縮なのですが、今後こういった非常に質の高いピアニストの演奏を、最高の状態のレコードからCDに復刻し、多くの人に聴いて頂きたいと思っています。是非、ディスクユニオンさんにも協力頂きたいと…(笑)

――その時は、こちらこそ販売させていただきたいです!貴重なお話、ありがとうございました。


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